ひとりごと
僕の気持ち
この頃忙しいらしく、いつもより遅い帰りが続く彼女。

カーテンもひいていない部屋の窓から、月を眺めて彼女の帰りを待つ。
これが、いつもの僕の日常。

そのひとりの時間が、いつもより少し増えただけ。

コツコツコツ・・・

彼女がたてる靴音が聞こえた気がして、僕は耳をすませる。

コツコツコツコツ・・・

うん、やっぱり彼女だ。

座っていた窓際から立ち上がり、少しノビをする。
今いる窓際のちょうど反対側にある玄関まで移動した。

ガチャガチャッ、バタン

鍵をまわす音、扉が開く音の後に、愛しい彼女の姿が見えた。

僕は彼女をとびきりの笑顔で出迎える。

「おかえり。今日もお疲れ様」

彼女は僕に抱きつき、頰を寄せてくる。

「ただいま! 遅くなってごめんね。ご飯にしよう!」

仕事で疲れているだろうに、帰ってきてすぐ僕のご飯の心配をしてくれる。

「大丈夫だよ」

僕はきみに伝える。
だけど、うまく伝わらなかったみたいだ。

彼女は着替えもせずにキッチンへ向かい、手を洗って、ご飯の準備に取り掛かった。
< 1 / 2 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop