メガネ君は放課後ヤンキー?!
無くした手帳


全速力で信号を渡りきり、改札を通って
ホームで上がった息を落ち着かせながら、電車を待っていた。

怖かった…

友達がいない私は都会に慣れていない。


高校生なら夜に友達と遊んだりクラス会があったりするのかもしれない。だけど、友達はいないしクラス会も面倒だった。


昼間の街なら1人で歩くこともあるから大丈夫だと思ってたけど、夜になるとこんなに雰囲気が変わるんだ。


駅のホームだって赤い顔したご機嫌なサラリーマンだらけで酒臭いし、時々駅までの道のりに客引きの男が居たりする。


前までは、他の塾生に紛れて大人数で帰ってたから良かったけど、今日は塾長に呼び止められて1人で帰る羽目になってしまった。


酔っ払った男の人が、
あんなに力が強いなんて知らなかった。

酔っ払いの変態野郎と、
助けてくれたヤンキーを思い出した。

ヤンキーって言葉は、もう死語なんじゃないのかな。なんて勝手に思ってた。それくらい私はそういう人達とは縁遠い。


家について、
今日も1人晩御飯を食べる。

食べている途中だけど、塾の次までの課題がふと気になってしまった。

ご飯中でも、誰かが見てるわけじゃないから気になったことはすぐにやってしまう。


お箸を置くと、食卓から立ち上がった。


自分の部屋に行くと、さっきまで持っていたカバンの中にある手帳を取り出そうとした。

だけど…
探している硬い感触の小さなリングノートは手に当たらなかった。

ん?手帳は?

恐る恐る、いつも手帳を入れているポケットの中を見ても…

ない!!!


このカバンのポケットに入れたはずなのに!


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