決して結ばれることのない、赤い糸
最初の出会い
まるで、恐竜が闊歩しているかのような足音が徐々に近づいてくる。


「かりんー!遅刻するわよー!」


そう言ってわたしの部屋にやってきたお母さんは、わたしがくるまっていた布団を引っ剥がす。


「もう起きるよ〜…」

「いつまでもだらだらしてないのっ。今日から中学生でしょ?」

「だから、わかってるって〜…」


そう。

わたし、広瀬(ひろせ)かりんは、今日から中学生になる。


毎日私服だった小学校とは違って、紺色のセーラー服が、わたしの通う壱葉(いちは)中学校の制服。


この辺りの中学校の中でも、壱中(いっちゅう)の制服が一番かわいいと言われている。

この制服を着ることを、どんなに楽しみにしていたことか…。


ただ楽しみすぎて、昨日全然眠れなかった…!

それが、今日の寝坊の原因。
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