爽やかくんの為せるワザ

気になる









「――ってことで、もうすぐ文化祭です。そろそろ準備期間入るし、まず実行委員決めていきましょう」





担任の先生の言葉に、クラス中が一気に騒がしくなった。



ほんとだ……もうすぐ文化祭か。


去年は1年生で、飲食系駄目だったからお化け屋敷やってたなー。

沙羅ちゃんの気合いがすごくて、「怖すぎ」って皆から大人気だったのを思い出した。


今年は何やるんだろう。





「じゃ、まず立候補いるかぁ?」





気だるげな先生の質問に、さっきまで騒がしかった教室が一気に静まり返る。



……分かりやすい。

やっぱり皆やりたがらないよね。


予算とか会議とかすごく大変そうだったし。





「はーい、私やります」





手を上げて明るい声を発するその生徒に、皆の視線が集中する。


ケロッとした顔で手を上げていたのは、なんと桃ちゃんだった。






「……あれ、緒方は去年も実行委員やってなかったか?」


「まあね。でも皆やりたくないだろうし、1回経験してるから私やりますよ」


「優しいね〜。んじゃ女子は緒方で決まり」





わーっとクラス中で歓声と拍手が沸き起こる。

「桃ありがとー!」「桃神〜!」と女の子達が桃ちゃんを崇めていて。



さすが桃ちゃん。

去年も率先して実行委員やってたし、大変そうだったけどしっかりやり遂げてたなぁ。



桃ちゃんは目立つから、こうやって皆をまとめたりするのは得意みたい。



皆が面倒くさがることもこうやって率先してやるっていうのは、本当に尊敬するなぁ。





「次は男子だな。立候補でも推薦でもいいぞー」


「私と実行委員やりたい人〜」




先生に続いて発言した桃ちゃんに、皆が笑う。


しかし皆手を上げるわけはなく、それぞれがお互いの顔を見合わせていた。




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