爽やかくんの為せるワザ

ラストスパート






文化祭の準備は桃ちゃんと敬吾くんのおかげで順調に進み、
最終段階に入る頃には部活等も休みになるみたいで、前より多くのクラスメイトが作業に加わってくれた。


私達デザイン係も順調に進んでいて、
制服班は製作した制服を試着していたり、
内装班は決まったデザインを他の係の人達と一緒に共有して作業に取り掛かっていたり。


もちろん、私含む外装班も着々と看板や装飾品を製作していた。



しかし、気になることが1つ。




「……あの、佐賀くん」




看板に色を塗っていた私と佐賀くん。

その佐賀くんの表情が最近暗いような気がしていて、ずっと気になっていた。


そしてそれは文化祭の日が近付くにつれてどんどん暗くなっていて。


2人きり(とは言っても周りには作業している生徒がいる)になれた今が、理由を聞くチャンスだと思った。



声を掛けられた佐賀くんは手を止めずにこちらを一瞥する。




「……何?」


「最近……何かあった?気分が悪そうだから気になって……」


「……」




無言で看板を塗り進める佐賀くん。


元々物静かでクールだった佐賀くんは、あんまりこうやって作業中に話したくないのかもしれない。

邪魔しちゃってるし。


……今は聞くべきじゃなかったかな。


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