冷たいキスなら許さない

KISS KISS プラス


枕を相手に喧嘩を売っていたはずが浅い眠りに落ちていた。

***

「---これ誰の?」
洗面所に置いてあったピアスを櫂に見せる。
「あ・・・」
明らかにマズいという顔した。

「どういうこと?誰の?誰がいつ来てここで何したの?」

私が櫂の部屋に来たのは一か月ぶり。会うのだって3週間ぶり。
その間に櫂は誰とここで過ごしていた?
私にしばらく来るなって言ったのはこういう事だったのか。

二か月くらい前から櫂は私を遠ざけようとしていたようだった。
メールしてもなかなか返信は来ない。既読すら時間がかかる。
もちろん電話になんか出てもらえない。かかってもこない。

そんな日が続けば誰だっておかしいと思う。
とどめがこのピアス。

「ねぇ、これ何なの?誰の?」
納得できる説明が欲しい。

浮気したわけじゃないって、お姉さんとかお母さんとか妹とかのだって言って欲しい。
黙っている櫂に焦れる。
「ねぇ、ちゃんと説明してよ!」

「--うるさいっ」

いきなり声を荒げてソファーから立ち上がると
「帰れ」
と私のバッグを押し付けてきた。

< 187 / 347 >

この作品をシェア

pagetop