罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。

side B



「うわ、雨だ」

放課後になり、皆が部活に行ったり、帰ろうとする中、私は立ち上がったまま窓の外を見つめる。

空は午前中まで晴れていたにも関わらず、どうやら機嫌が悪くなってしまったようだ。

せっかく部活があって、岩崎先生に会う事ができるのに、雨だと嬉しさは半減だ。

湿気のせいで普段おろしている髪の毛はまとまりが悪いし、濡れる可能性も高いから先生に完璧な姿で会う事が出来ないのが恥ずかしい。

まあ今日は室内トレーニングだから、そんなに髪の毛も湿気でペターってならないと思うけど…。


「海野ー。今日はどこで練習だ」

「今日はトレーニングルームだって。後で鍵もらってくるから先部室行ってて」

「おけー」

そう言って原川は教室を出て行った。私も廊下側の席に座り、友達とお喋りをしている理子に「また明日ね」と言って体育教官室へ向かう。



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