《side 紫織》

「だから、ね、礼の気持ちは嬉しいけど、あなたに何かあっても嫌だし。私は誰とも付き合わないって決めてるから」

ちょっとだけ本音が漏れたけど、それくらいは友人でも心配するでしょ?

「…8年前と逆だね、あの時は俺が君に同じことを言った」

「!」 
礼も覚えていたのね

「でもね、紫織。俺あの時に覚悟したんだよね」

「覚悟?」
いったい何を?

「紫織を諦めない覚悟、前にも言ったよね」

「礼、でも!」

ダメだと言い募ろうとしたら、礼は人指し指で私の唇を塞ぎ、首を横に振る

「何度でも言うよ。俺は君を諦めない……というかさ、」

クスっと笑ったその顔は破壊力抜群で、私の戒めを崩す

「…諦め方、忘れちゃった」

そんな笑顔で言わないで!
ダメなのに…嬉しくなっちゃうよ

「俺に想われることを受け入れて。
紫織が逃げても、どこまでも追いかけるから。何があってもそばにいるから

紫織こそ諦めてね、俺から離れようとしても、もう無駄だから」

無敵の笑顔で見つめられてついに涙がこぼれた

いいの?ずっとそばにいて、あなたを想うことを許してくれるの?

事故に巻き込まれるかもしれない、不幸が起こるかもしれないのに
礼をそんな目に会わせたくはないのに…

どうやら彼は私から離れる気はないらしい

いいえ、もうわかってる
私こそ彼から離れられない、そう自覚してしまったから

彼の言葉が信じられないくらい嬉しくて、もうどうしようもない…