覚悟はいいですか

俺は紫織から聞いた堂嶋との因縁と、その後に紫織の周辺で起きた事故をまとめて話す
全員が苦々しい顔をして聞いていた

志水はモバイルパッドを弄りながら、メモを取っている

俺の話を聞き終えると、画面を見る目がすうっと細くなる

「呪い云々の話、どう考えても堂嶋の仕業ですね

まず被害者を探して詳しい話を聞きましょう。脅されているようなら裏をとって保護しなければなりませんし。
できれば証人となってもらえるように交渉も含めて始めてもよろしいですか?」

「ああ」

俺の了承をとると、志水はすぐにまたパッドをスワイプし、どこかに電話をかける
話を聞きながら準備はもうできていたのだろう、ほんとに手回しがいい

俺と志水、たまにジョルジュの意見を交えながら紫織のための安全策と、堂嶋と争うときのために必要な手立てを話し合い、次々と関係各所に連絡を取り指示を出す
百鬼は黙って耳を傾けているだけだが、これはいつものことだ


兄に調査を頼んで早々に、俺を襲った黒幕は堂嶋だと分かった
その時、紫織と堂嶋の因縁も大まかに掴んでいたが、今日のできごとと紫織の話で確信に変わった

まだ裁判に持ち込むか、それとも超法規的措置を採るか、こちらの出方は決めていない
個人的には制裁することしか考えられないが、それでこの一件が収束できるか読めないからだ
二度と紫織が泣くことの無いよう、あらゆる禍根を断つ
奴が再び近づく可能性を1ナノミリも残さず潰さなければ

「紫織と一緒に暮らせたらな……」
そうすれば、俺がずっとそばにいて守ってやれるのに

思わずこぼした独り言に志水は呆れた目を向けたが、はっとしてこちらを見た
何を思いついたのか、真顔で

「礼様、その手がありました。すぐ手配しましょう」

と言いだした

な、何をする気だ?

その後志水が話した護衛計画は、俺にとって嬉しさ半分、嫉妬半分のものだった

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