覚悟はいいですか
「どうぞ」

キャップを開けてから手渡してくれたので、”ありがとう”の代わりに微笑んで受け取った

冷たい水が喉を通ると、自分がとても喉が渇いていたことに気づく

半分ほど飲んで落ち着いたところで、試しに声を出してみると今度は普通に出た

「大丈夫そう?」

「ええ、ありがとう、礼」

「どういたしまして」

「今何時かな?ここは…礼の部屋?」

「そ、俺の寝室。今は夜中の12時過ぎだよ。
まだ紫織が寝てから3、4時間くらいしか経ってない」

相変わらず私の考えてることはオミトオシってこと?

礼はクスクスと口元を隠して笑いながら、ベッドに片膝をついて私の顔をのぞき込む
思わず後ろに引くと、何かに気づいたように苦しそうな笑顔で、ゆっくり立ち上がった

「ごめん。まだ近づくと怖い?」

そんなことない!ちょっと驚いただけなのに

「ごめんなさい。でも違うの」

「違う?」

「礼のこと、怖いなんて思ってないから。少し驚いただけで、むしろ傍にいてほし……っ!」


あッ!つい本音がっ!!

口を押えたままそっと上目遣いに見ると、礼が目を見開いたまま、私を見下ろしている

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