覚悟はいいですか

3、奪還


《side 紫織》


「紫織さん、紫織さん」

ん…、誰?

「紫織さん、大丈夫ですか?起きれますか?」

「…ジョルジュ、さん?」

「よかった、気が付きましたね」

「…ここは?」

「…分かりませんが、私達、捕まってしまったようですね
申し訳ありません」

そうだ!あの時彼は…

「そんなこと!
それよりジョルジュさん、ケガは?体は大丈夫ですか?」

「静かに!…このくらい何ともありません」

嘘だ…呼吸が荒いし、暑くもないのに額に汗が浮いてるもの
とは言え、二人とも手足を縛られてるし、通信手段もない

今は…夕暮れ時だろう、カーテン越しに窓から入る光は暗い橙色
外は少し先が林のよう、木がたくさん生えている
そして……

「見張りがいますね。それも一人二人じゃない……」

そう、先程から窓を横切る人影を見れば、二桁は間違いなくいると思われる
ドアの向こうからも廊下を歩く足音や話し声がひっきりなしに聞こえる

「礼は心配してる、よね?」

「っ!それは言わないでもらえますか?想像するだけで震えがきますから」

本気で怖がるような顔をして、私を不安にさせないよう気遣ってくれてるのかな?
ケガしてまで守ろうとしてくれたジョルジュさんを礼が怒るはずないもの

「いや、紫織さん?
貴女に何かあったら、本っ当に私、五体満足でいられる自信ないですからね!」

もう、ジョルジュさんったら!

「…分かってないな、この人…」

「?」

ジョルジュさんが更に言いつのろうとした時、この部屋のドアが開いた
そして現れた人を見た瞬間、呼吸が止まった

「!」

「おや、お目覚めですね」

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