覚悟はいいですか
「うわ、その顔ヤバい・・・」

「な、なによ失礼ね!」

ひとの唇を奪っておいて何てこと言うんだ!

「いや、違くて。って、あ~いいよ。紫織はわからなくて」

なんかブツブツ言ってるがやっぱりひどいと思う・・・
ジト目でにらむと、大きく息をついて私を見た

「ごめんね、やばいってのはヤバいくらい紫織が可愛いってこと」

笑いながら言う
それほんとなの?からかってるの・・・?

「ほんとだよ」

「!」
礼は私の考えてることがわかるんだろうか?

キスされて熱が上がったみたい・・・
激しく脱力した私は、礼の胸にコテンと頭をあて

「もう寝る」

とつぶやいた

「・・・いいよ。一緒に寝よう」

とんでもないことを言いますよ、この人!いやその前に、何か間違ったような気が・・・
アワアワする私を笑いながら、手を引いて歩き出す
振り払おうとするけど礼はどこ吹く風っ感じで、どんどん階段を昇り、廊下をすすむ

も、もしかして・・・
「礼っ!どこで寝るつもり?」

「昼間と同じとこ」

や、やっぱり!!

「そこは私のだから!」

「だって他に部屋無いし」

「さっき綾乃さんが、礼も泊まるなら隣空いてるからその部屋使うようにって」

ちょうど部屋の前で礼が立ち止まった。振り返って私の部屋を親指で示しながら

「荷物、置きっぱなしなんだ」という

「ちょっと待って。取ってくるから」
礼に待つように言って、一人部屋に入った


荷物はすぐに見つかった
ほっとして手に取り振り返った途端、部屋の照明が消える

ドアを見るとその前に・・・

「な、なんで部屋に入ってるの?!」

月明かりに照らされて、妖艶に微笑む礼が立っている



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