「バッグ、ちょうだい」

手を出して言う彼にさすがに警戒しながら近づいていく

ギリギリ互いの手が届く距離で恐る恐るバッグを持った手を伸ばすと・・・

礼は一瞬にして私の手首を掴み、グイッと引いて体を入れ替える
そのまま壁に私を押しつけて、頭の両サイドに肘をつき覆いかぶさるようになる
バッグは勢いのまま、壁にボスンとあたり、床に落ちた


何、何、何なの、この態勢?!

あ、あれだ、壁ドン!

ん?でも壁ドンは手を着くよね?
今は着いてるのは肘だよね!?

あ、じゃ肘ドン!これは肘ドンだ!
命名「肘ドン」!!!

って違うううううっ!!!

とにかくどいてもらわなきゃ!
あまりの近さに顔を壁の方へ向けてるけど
これ以上は逃げられなくて・・
さっきから礼の荒い息が首筋にかかって、
なんかくすぐったくて肩が跳ねちゃって呼吸おかしくなりそうで!!

「ち、近いから、どいて!」
「やだ」
って子どもですか、あなた!

「耳、弱い?」

「は?そんなことないし」

「そう?じゃあこんなことしても平気かな・・・」
そういうと、いきなりペロッと耳殻をなめた

「ひゃあっ!」

思わず、変な声がでちゃう
礼は私の反応にニヤリとして、そのまま唇で耳たぶをはさんだり、耳の後ろをぴちゃぴちゃと音を立てて舌でくすぐったり・・・

「や、ダメ、やめ、て・・・」

結構真剣に抵抗してるはずなのに、力が抜けてくってどうして・・・?

「可愛い。紫織、感じてる?」

濡れた耳にまた息がかかって、余計にくすぐったい

もう、無理!と目を閉じると

「可愛い紫織が見れたから、今日はこれで勘弁してあげる」

とひとつキスを落とす

ドアの開く音に目を開けると礼がこちらを見て

「おやすみ」

にっこり笑って出て行った


私は一気に力が抜けてずるずると壁にもたれたまま座り込み、しばらく動けなかった・・・


翌朝ドキドキしながらリビングに行くと、礼は朝早くに帰っていた
綾乃さんに礼から預かった連絡先のメモを渡される
根掘り葉掘り聞かれたが、当然話せるはずもなく・・・

私は早々に帰途に就いたのだった