覚悟はいいですか
「…どうした?」

「…な、んでも、ない」

はあぁ~キスされるかと思った・・・
多分、赤くなってるだろう頬を手で抑えそうになるのをぎゅっとこぶしを握って堪えた。
車の中でよかった、暗いから見えるはずないもの・・・

ふと視線を感じて運転席を横目に見ると、礼の顔がアップにあってびっくりした
シートの背もたれに左手をかけ、色気たっぷりにこっちを見下ろしていて…

「ひょっとしてキス、されると期待した?」
「してません!」

即答したら、プッと吹き出した

「くくっごめんね。久しぶりに会えたのが嬉しくて。ちょっと意地悪したくなった」

「!な、なっ」

恥ずかしくて悔しくて、口をパクパクしていたら、頬に唇が触れた
チュっと音をさせてから、

「可愛いよ、紫織」

固まる私の耳元で囁くと、礼は正面を向き、車を発進させた

少しして呼吸が復活した私は急いで窓を開け、火照った体を冷ましたーーー
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