大好きな先輩は隠れ御曹司でした
6.
岡澤とメールのやり取りをしてから数日、金曜日の朝から光希は変な緊張感に包まれていた。

「今からそんな緊張してどうするの。ってか、そもそも緊張の必要ないでしょ。彼氏と仕事帰りにデートするだけなんだし」

項垂れる光希に、新入社員みたいな入力ミスを指摘した静香さんは完全に呆れ顔だ。

「それはそうなんですけど……でも、いつもは誰にも会わないお店にしか行ってかなかったので」

「わざわざ、そんな不倫カップルみたいな事してたの!?」

「バレたくなかったので……」

「それにしたって……まぁ、いいわ。大っぴらにデートするってだけで、こんなミス連発しちゃう冴島ちゃんも可愛いし」

「静香さん、」

「でも!これ以上ミスの訂正するのは流石に私もパスだから。冴島ちゃん、今日は資料室で未分類のファイルの整理するといいんじゃない?」

「ーーーはい」

静香さんの。厳しいながらも優しいアドバイスに従って、光希は大人しく資料室へと向かった。
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