主任、それは ハンソク です!
7 / 主任、あなたのことがわかりません

「……ああ、もうっ」

 ベッドに体を横たえても、なんだか寝付けそうにない。さっきから馬鹿みたいに、何度も何度も寝返りを打ち続けている。

 結局あの後、主任は打ち合わせから直接会議に向かったようで、部屋には戻ってこなかった。

 会議にかけられた色違い3案のその後はわからないまま。せめて、良かったのか悪かったのかくらいは教えて欲しかった。
 それだけじゃない。

 カジヤマと称する例の電話も、私がほんのわずか席を外している間に、なぜか久住先輩が主任に取り次いで終わっていた。

                *   *   *

 何もかも分からないことだらけで、どうすることもできないもやもやを胸の内に抱え込んだまま、主任宛てに先に帰る旨をメモ紙にしたためていた、その時。
 デスクの内線がけたたましく鳴った。

「得野ちゃん、今日、これからって空いてる?」
「……久住先輩」

 私は受話器を降ろすと、慌てて帰り支度に取り掛かった。

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