改札から出てきた人たちが、そのすぐ正面の待ち合わせスポットであるステンドグラス前に立っていた人たちと次々に合流し、空いたスペースには別の人たちが収まっていく。

そんな様子を、吹き抜けになっている上階から、手すりに寄りかかりながら眺めていた。
隣に立つ男も同じように階下を眺めていたけれど、ふと腕時計を見て息を吐いたあと「そろそろ時間だぞ」と。呟くように言った。

わたしも同じように腕時計を見て、時間を確認してから「うん」と静かに返事した。

ああ、もう時間か。この一時間特に会話もなく、階下を行き交う人々を眺めて過ごしてしまった。せっかく見送りに来てくれたのに。もう毎日顔を合わせられなくなってしまうというのに。いつも通りの何気ない会話も、気軽な小競り合いも、できなくなってしまうというのに。なんて無意味な一時間を過ごしてしまったのだろう。

がっくりと肩を落としながら振り返り、これからわたしが通らなくてはならない改札に目を向けた。


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