君と永遠に続く恋をしよう
いきなり恋人宣言
私が二十八歳の誕生日を迎えた九月、たった一人しかいない兄の賢也(けんや)がバイク事故で急逝した。


最初は家族全員がそれを受け止められず、遺体の確認に行っても、ただ兄は眠ってるだけでしょ?と警察官や医師に問いたくなる様な心境だった。


遺体を引き取り、バタバタと葬式を済ませ、体が骨と煙になって消えた今でも、私達にはまだ、兄の存在が家の何処かにある様な気がする。


突然身内を失うと誰もがそんな気分に陥るんだと聞いたことがあるが、実際に兄の姿は家の中から無くなり、時だけが確実に前へと進み始めた。


時が戻ったり、止まらないのなら、前を向いて生きるしかない。


不幸の後には必ず幸福が訪れるんだと信じて、前進する以外に遺された道はない………。

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