皇帝陛下の花嫁公募
プロローグ
 リゼットは可愛らしい小鳥のさえずりで目が覚めた。

 広い寝室の大きなベッド。柔らかな白い布の天蓋が視界に入る。上品で繊細な雰囲気の部屋だが、飾り気は少ない。

 臙脂色の厚いカーテンの隙間から眩しい光が入ってきている。今朝は天気がいいらしい。

 リゼットは明るい気持ちになって、ベッドから飛び出した。二重になっているカーテンを開けると、部屋にさっと日が射してくる。

 今日はきっといいことがあるわ!

 リゼットは夜着のまま裸足で部屋を横切り、金縁の鏡を覗き込み、にっこりと笑ってみる。

 笑顔を絶やさずにいること。

 いつも家庭教師にそう言われている。

 何故なら、わたしはアマーナリア王国の王女だから。
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