皇帝陛下の花嫁公募
第八章 幸せな結婚生活

 リゼットが宮殿を出たのは、アンドレアスに帰国するように言われた翌日のことだった。

 ナディアの体調を考慮してのことらしい。リゼットはナディアと近衛兵の恋のことを思い、彼女だけ置いていこうとしたのだが、彼女は頑としてリゼットについていくと言い張った。

 頑固なのは、リゼットだけでなく、テオだけでもなかったということだ。三人は幼馴染で、固い絆で結ばれている。いわば兄妹のようなものなのだ。

 リゼットと、アマーナリアから派遣された者達、そして祖父の使用人達はすべて荷物をまとめさせられて、馬車に乗せられて宮殿の外に出された。

 街の中を馬車が走っていく。リゼットとナディアが乗る馬車が先頭で、他の数台はそれに続いている。
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