二番目でいいなんて、本当は嘘。

帰りたい、帰りたくない

シャワーを浴びたあと脱衣所のタオルに手を伸ばすと、ゆうべ私が脱いだ下着がきちんと畳まれて籠のなかに置かれていた。
桐生社長が持ってきてくれたのだろう。細やかな心遣いに恐縮する。

他人の家のバスルームはなんとなく落ち着かず、私は急いで下着をつけた。
予想外の状況だけれど、とりあえずきれいな下着を身に着けていたことにほっとする。

「見えないところにこそ、気を配れ」

祖父がいつも言っていたことだ。
客商売をするうえでの心得みたいなものだと思うが、こうして実生活にも根付いている。

天国おじいちゃんに感謝だ。
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