二番目でいいなんて、本当は嘘。

やり場のない気持ち

結局、桐生社長の部屋を出たのは、正午を過ぎてからだった。

「外で食事でもしましょうか。それともデリバリーを頼んで、このままゆっくりします?」

ベッドの中で、そんなふうに甘く囁かれる。
社長の甘い誘惑につい頷きそうになってしまったけれど、家に置いてきたシズクのことが心配だった。

「家でシズク……猫が待っているので、今日は帰ります」
「未央さんのことを僕がひと晩独占してしまったので、シズクは怒っているでしょうね」
「私がいなくても平気だろうけど、ゴハンがないことには怒っているかも」

祖父が亡くなってから、シズクの食は細くなった。
だから最近は小まめにエサをあげて、食べ具合のチェックをしていたのだけれど、こんなふうに家を空けてしまうのでは意味がない。

事情を説明すると、桐生社長は
「わかりました。僕の車で家まで送っていきます」
と私の額にキスを落としながら、名残惜しそうに言った。
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