二番目でいいなんて、本当は嘘。

午後7時の出来事

資料とテキストの照合作業をしているうちに、ひとりふたりとスタッフが帰っていく。

ようやくひととおりのチェックを終え、私はできあがったものをプリントアウトした。

ディレクターにそれを手渡すと、
「見やすくまとめてあるね。ありがとう、助かった」
と目を細められた。

感謝を含めたお世辞だとは思うが、褒められるのは素直にうれしい。


ただ、保存されていた資料はほとんど完成に近いものだった。
島本さんはあんなふうに責任を放棄するような態度をとっていたけれど、仕事はほぼ終えていたのだ。

私はただ、抜け漏れがないかチェックし、文字をそろえ、表を整えただけである。
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