明治、禁じられた恋の行方
3.千歳の決意
母はもともと肺が弱かった。

借金、父の逮捕、
お嬢様育ちの母の心労はどれ程のものだったろうか。

寝込んでいた母は、風邪を悪化させ肺炎を患っていた。
医者も呼べない。
冬璃が必死で千歳のもとに走っても、もう、間に合わなかった。

葬儀は母の親戚が、せめて、と手配してくれた。
白い服を着させられた母を見る。

何も出来なかった。
しかも私は、母についていなければならない時に何を。

愚かさに目眩がする。



もう、いい。
私はいい。

私は、私自身と、園池家を追い込んだ者たちを許さない。

どこからでも這い上がって、
復讐してやる。


顔を上げた千歳の目には、もう涙は無かった。
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