明治、禁じられた恋の行方
8.見えてきた真実
ーごめん。
あの夜、激しいキスに乱れた息を抑えながら、志恩は言った。
まだ、どくどくと心臓が激しく鳴るのを感じながら、
本当は、千歳は聞きたかった。
なぜこんなキスをしたのか、
自分のことをどう思っているのか。
でも・・・
その謝罪の言葉で、全て飲み込む。
ごめん、
ごめん、って、何だろう。
経験も無く、これまで、恋愛についてなど考えて来なかった千歳には、胸の高鳴りも、痛みも、初めてのことだった。
そうだ、そもそも、私は借金だらけで、あくまで契約でこの家にいるだけの人間。
一時的に利用するための道具・・・
だから、ごめん、か・・・
ズキズキと胸が痛む。
あぁ、私は何て愚かなんだろう。
復讐、復讐と言いながら、
私はこんな所で、恋をしてしまっていたんだ。
でも、志恩はきっと、そんなつもりじゃない。
「さっきのは、無かったことに・・・して。」
そう言い捨て、
パタパタと部屋に戻った後には、呆然とした志恩だけが残された。