タイトル未定
(やば、ちょっと寝すぎたわ。)

私はベッドからゆっくり体を起こし、真新しい制服を手に取る。

四月。
まだちょっと肌寒いがブレザーを着るほど寒くはない。ベストを着るかどうか、悩みどころだ。
とりあえずシャツと赤のチェックのスカートを身に付け、朝食をとるためリビングへと向かった。



リビングでは、母、沙苗(さなえ)が弟、冬馬(とうま)の書類を書いていたところだった。

「さっちゃん、おはよ。」
「おはよ、あんた時間大丈夫なの?初日から遅刻とかやめなさいよ。」
「さすがにそれはしませんよー。」

とか言ってるが、時間はなかなかギリギリ。

(ま、朝ごはんはいつもみたいに食べなくていっか。どうせ午前中だけだからお弁当もないし。)


とりあえず玄関へ向かいちょっと扉を開けてみる。

(んー風がちょっと冷たい……。)

元々寒がりなのもあるが、やっぱり今日はちょっと肌寒い。

自室へ戻り、ベストを着る。
胸下くらいまである髪を真ん中くらいの高さでポニーテールにして、顔を洗い、歯磨きを済ませる。
ふと鏡の上の時計に目をやると、8時30分を指していた。

(え!?やば!もう出なきゃ!)

急いでリュックを背負ってまだ革の硬いローファーを履き、自転車の鍵を掴んで家を飛び出した。
「いってきまーす!」

「気をつけなよー。」
と言うさっちゃんの言葉を聞きながら、私は自転車を大急ぎで漕いだ。
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