彼女に落ちるまで~甘い運命 修一side

1-2





彼女、『橋本 都』に出逢ったのは、約2年前。

元々の担当者から、引き継ぎを受けた時だった。

「橋本 都と申します。

羽田にはまだまだ及びませんが、精一杯担当をつとめさせていただきます。

どうぞ、宜しくお願い致します。」

深々とお辞儀をする女性。

顔は十人並み。体型はぽっちゃり。

でも、綺麗な角度で腰を折り、凛とした雰囲気を漂わせている。

顔をあげて俺をまっすぐ見つめる眸に、全く『色』…つまり、恋愛感情とか、俺を男として意識する気配がなく、驚いた。

自慢ではないが、初対面の女性は、大抵俺を見てうっとりする。

「…あの…?何か失礼を致しましたでしょうか?」

すぐ返答をしなかった俺を、不安そうな表情で見つめる彼女。

「いえ、失礼しました。
羽田さんの後任の女性ということで、もっと…そう、キツそうな女性を想像していたもので。

柔らかい雰囲気の方で、驚きました。 」

意識して冗談ぽく、俺は言った。

「改めまして、担当の三上です。
こちらこそ、宜しくお願いします。」

名刺を差し出しながら言うと、彼女は慌てて自分の名刺を取り出した。

「失礼いたしました、私から出さないといけなかったのに…!」

「ははっ、橋本、三上さんがあんまりイケメンだから、見とれてたんだろ!」

からかう羽田さんをちょっと睨んで、

「見とれていたのは本当ですが、イケメンさんというよりは、造形が完璧という意味です。課長、下世話ですよ!」

ちょっとよく分からない理論を主張して、彼女が名刺を差し出す。
仲の良い上司と部下だな。
羽田さんは、俺も尊敬できる人だ。
その人が可愛がっていて、次の担当に指名してきた人だ。
相応にできる女性なのだろう。

その時は、そのくらいの意識で挨拶を終え、彼女らを見送った。

でも、あまり期待はすまい。
女性担当は、俺と絡むと大抵問題を起こす。

俺はひとつ伸びをして、自分の部署に戻った──




< 2 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop