私は強くない
浮気のラインって?
どうして、仕事しないといけないんだろう。
どうして…

考えても仕方ないか。

嫌だと思っていても、月曜日はやってくる。
この週末はどこにも行かず。ずっと引きこもっていた私。
先週とは、何もかもが変わっていた。

無になろう。
仕事だけ、しよう。
そうしよう。

化粧をして、家を出た私は最寄りの駅に向かった。

電車に乗って考える事はただ一つ。
どんな顔をして会えばいいんだろう、普通にしていられるかな。
そんな事を考えていた。

「お、倉橋。おはよう」

ふいに、電車の中で声をかけられた。

「え?あ、名取課長おはようございます」

駅のアナウンスが聞こえる。降りる駅だと、そこで初めて気がついた。

「朝から難しい顔してたけど、なんかあったのか?」

「え?あ、そんなことないですよ。仕事嫌だなぁって思ってたんですよ」

作り笑いを浮かべながら、話す。
名取課長は、そうか?都築が知ったらショック受けるぞ、と人事部の課長の話をしながら並んで、会社へと歩いて行った。

名取課長と一緒でよかった。
余計な事考えずに済んだから、このまま更衣室まで行けたら…、

「お、奥菜」

……!

何も知らない名取課長が、拓真を見つけて声をかけたんで慌てて、

「じゃ、名取課長、私更衣室に行くんで、失礼します」

「お、おう」

拓真を視界に入れないように、私は更衣室に逃げた。

更衣室に入り、上がった息を整えていると、

「おはようございます、慶都さん」

朝から、無駄に元気のいい美波が挨拶をしてきた。

「あ、おはよう」

「あれ?なんか元気ないですけど、週末なんかありました?」

顔を覗き込みながら、私に話をする美波を交わしながら、着替えて人事部に向かった。
私を追いかけながら、美波はどうしたんですか?と聞くけれど、理由なんか言える訳ないし。
ひたすら仕事で逃げた1日だった。

無事、1日を終えたけど明日から持つのかな、私。
そんな事を考えながら、着替えていると、美波が入ってきた。

「今日は帰しませんよ?」

顔が怒ってる。
そりゃ、そうよね。
ほぼ、無視してたからね、私。
けど、会社で話する訳にもいかなかったのよ。また泣いちゃうから。きっと。

美波の気迫に観念して、2人で飲みに行った。ただ、お店で話が出来る訳もなく、美波にご飯だけ食べて、後は家で話をしようという事になった。
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