きみと1番目の恋

彼はいつでも1番だから
雲ひとつない空のような言葉が
言えるんだ。こんな私にも
優しく出来るんだ。

いつでも2番な私とはステージが違う。
でも、今日だけは彼との出会いに感謝した。

いつもなら羨ましがってしまう
いつでも1番な人間との出会いに
自己嫌悪に陥る人との出会いに
感謝したのは初めてだ。

翼「へぇ、モデル。
どおりでイケメンな訳だ。」

郁人「まあ、読モだけどね。」

翼「若いって自由でいいね。」

嫌味ではなく、それが彼に対しての
素直な感想だった。

翼「さ、私は帰ろうかな。
ケーキごちそうさま。」

お金を払い武彦からの
プレゼントを握り締める。
どんな関係であれ
これは正真正銘、武彦から
私だけに贈られたプレゼント。
それ以上でも以下でもない。

私はどう頑張ったって
彼のようにはなれないから。

ずっと2番の人生は変わらない。
だから、目の前のこのプレゼントを
大切にする事くらいしか出来ない。

郁人「翼さん!」

店を出ようとする私を
彼が呼び止める。

翼「何?」

郁人「誕生日おめでとう!」

翼「うん、ありがとう。」

心の底から、誰かにありがとうと
思えたのは、きっと彼が初めてだ。
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