帰り道は、ずっと手を繋いでいた。今夜はビルの間から見える花火を、立ち止まって眺める人も多い。道ゆく人の関心とは違う方向を、一心に目指して歩いている私達は異質に映ったかもしれない。
マンションのエレベーター。今まで意識したことがなかったけれど、防犯カメラがついているか最初に確認してしまった。ばっちりついていてがっかりした。

五十嵐さんは、私の手を引いて迷わず自分の部屋に向かう。私も自分の部屋で立ち止まったりしない。「帰る?」の意味をはき違えはしなかった。
 
部屋の扉を閉めた瞬間から、またキスの嵐。きつくついばみ、吸い合う。一方的な行為を受け入れるのではなく、私もそれに応えていた。
何度も向きを変えて、五十嵐さんの首に縋りつきながら大人のキスを贈りあう。

「五十嵐さんっ、五十嵐さんっ」
「煽りすぎ……すげーエロい」

着物の衿がずらされて、むき出しになった鎖骨に五十嵐さんが吸い付くようなキスをする。
あっと、思わず声がでてしまう小さな痺れが沸き起こった。
外からは花火の音だけが伝わってくる。終わりが近付いているのか、何発もの花火が一気に弾ける爆発音が聞こえて、一瞬我に返った。

「ま、まって、お風呂に入ってないから」

危ないところだった。外を歩いて、たくさん汗をかいている。五十嵐さんとすごす初めての夜なのに。
押しのけるように身体を離す。乱れかけた浴衣の衿を整えようとしたところで、手首を掴まれてしまう。

「待てない」
「じゃあ、身体にキスはしないで」
「いやだよ、身体中全部舐める。そんな行儀のいい作法とか守ってられない」
「でも私汚い……」

それはいくらなんでも無理。涙目で訴えると五十嵐さんが折れた。

「わかった、シャワー浴びよう」
「じゃ、お借りします」
「いや、一緒に入るから」
「え?」