当たり前です。恋人は絶対会社の外で見つけます!
勝手に兄貴ぶりたい奴がいた
やっぱり勝手に歩き出した。しょうがなくついて行った。
この間とあまり変わらない。
強引な奴だ。
自分勝手とも言う。
自分が思う通りに人が、周りが動くと思ってる。
そんな奴だ。
楽だろう、さぞかし楽なんだろう。


自分の人生の主人公は自分で、周りの人の人生にもずかずかと踏み込める、簡単に他人の人生の中でも居場所を作れるタイプの人。
そういう人はいる。

「何食べたい?」

「お昼を食べたばっかり。お腹空いてない。」

「何時に食べた?」

「12時。」

時計を見る大場。

「何だよう、がっかりだなあ。」

勝手にがっかりするな、別に食べなくてもいいんだから。

「じゃあ、お酒にしよう。」

方向を変えてホテルのロビーに入る。
ひんやりとした空気が体を冷やす。

案内された席に着いてお酒を頼む。
まだ明るいのに。

ストールを肩から外して手にしていた上着を着る。
ストールを膝の上に。

案内された席はソファ席で。
二人掛けのソファだったから、並んで座った。

高層階にあるロビーで窓からは薄曇りのビル群が見える。
お世辞にもきれいとは言えない。
夜ならきれいなのかも。

きっと、もっと近くで囁くように話が出来るあの人と来たんだろう。


「なんか、本当に元気ないけど。」

そんなにいつもの私を知らないのに、何でそんなことが言えるんだろう?
単純な疑問だ。
じっと見る。

「なあ、だから喋れって。見つめられても分からないよ。」

視線を外された。

「なんで、そういつもの私を知ってる風で決めつけてるの?」

「はあ?」

思わず大きな口が開いたのを見た。
顎は小さいのに口は大きいと分かった。

「あんなところで一身に不幸オーラ出してたのに?」

不幸オーラ?
何それ・・・・。

「出してません。」

「出てました。」

人生と幸せについて考えてた。
みゆきと自分の人生を比較しながら。
確かに自分の幸せに自信がないと思った。
でも不幸とかは思ってない、絶対思ってない。普通だ。
自分は普通だと思う、多分普通だ。


「相談にのることがあれば、どうぞ。」

「ありません。」

あまりに即答だったのでびっくりしたらしい。
こっちを見てる視線を感じる。

「ただ、ぼんやりしてだけです。」

付け加えた。
映画の事を考えてたんだし。

「まあ、ならいいよ。何かあったらいつでも相談にのるし。」

顔を見る。
いつからそんな兄貴キャラになった?
それとも、お節介キャラ?


先輩と同じような表情で私を見る。

そうか。
つい忘れる。そうだった。
年も先輩と一緒だ。二つ上なんだった。
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