大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
奏side 自覚しだす嫉妬
「奏、合コンするけど行く?」
臣の誘いなんて珍しい事があるものだと思った。
「…やめておく」
菜生が頭の中をちらついたからだ。
「石黒と湯川を連れて行くけど、お前行かなくていいんだ?」
「いいんだ?ってなんだよ…女なんて合コンしなくても困っていない」
「そっか…優希に頼まれたから仕方なくメンツ集めてるんだけど、後一人誰誘うかな?総務の金田でも誘うか!」
女がよってくる臣や俺と違い、ワンコ系石黒と強かな湯川は、女をその気にさせて堕とすのが上手い。金田なんては、物腰の柔らかさと口車で堕ちない女なんていないという奴だ。
相手側の女達は、蜘蛛のテリトリーに入ってじわじわと追いつめられ、喰われるのを待つしかない…。
「お前、優希ちゃんは囲い込むんだろ」
「いざとなればな…合コンしたいと言い出した向こうの意図がわからない以上、放置だ」
さすが、ドS…えげつない。
狙った獲物に気のあるそぶりを見せてから、他の女と仲良くしている姿を見せつけて堕とすっていうのがこいつのいつもの手。
だが、今回はいつもと違う。
最初から優希ちゃんを口説いていた。
健もそうだったが、こいつもそろそろ、一人の女に落ち着いてしまうのも遠くないのかもしれない。