一途な彼にとろとろに愛育されてます



「この酔っ払い……」

「すみません……!」



絶対痛かったよね……!

申し訳ない、と檜山の上からどこうとした。

ところが檜山はこちらを見るとなにかを言いたげな顔をして、私の背中に腕を回す。



「檜山?」



なに、とたずねるけれど答えは帰って来ず、むしろ檜山はそのまま黙って私の体を抱きしめた。

えっ……な、なんで、いきなり、抱きしめられてる?



「ひ、檜山?酔ってる?」



突然のことに一瞬で熱くなる全身の熱をごまかすように、檜山にたずねる。

けれど、頭上からは「ふっ」とおかしそうに笑う声がするだけ。



「どうだろうな。確かに少し飲みすぎたかも」

「そ、そっか……」



そう、だよね。檜山もちょっと飲みすぎてるだけで、だからちょっとハグとかしてみてるだけで……。

特別な意味はない、期待しちゃいけない。

そう言い聞かせるけれど、素直に飲み込めない自分がいる。



心臓が、うるさい。

檜山にも聞こえてしまいそうで、恥ずかしくて、苦しい。

けれど私はその腕から逃げられず、ただじっと彼の香りを感じて目を閉じた。



願わくば、この時間がずっとずっと続きますように。

そんな夢を見ながら。





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