その悪魔、制御不能につき

◆欲しくなったんだから仕方ないだろう




静かに社長室の扉が閉められると部屋の中に堪えきれなかったような楽しそうな笑いが広がる。まぁその発生源は私なのですが。



「なんだ?」


「いいえ。貴方が初対面の人、しかも女性に対してあぁなるとは予想していなかったので面白かっただけですよ」



クスクスと笑うと社長…鷹斗はその顔に不思議そうな表情を浮かべる。といっても他の人にはわからないほどの変化ですがねぇ。


それにしても意外というか、鷹斗の趣味がああいう美人とは思いもしなかった。だからといってじゃあどういうのがタイプだと思っていたのかと聞かれると困りますが。


子どもの時からの付き合いだが未だに鷹斗の女性の趣味はわからない。誘われて気が向いたらそれに乗るし気に入らなかったら無視、というのが今まででしたし。


その中に情が移ったことのある人もいなかったようですしねぇ。まぁでも鷹斗に関してはそういうのはあまり関係ないのだろうとは思う。何というか…もはや本能で生きてますからね。


恋愛だけでなくその全てにおいて本能的に生きているというか欲望に忠実というか…それで生きていけるだけの権力もあるしさすがというべきか悪い方向にいったこともないのだからすごい。



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