セカンド・プライオリティ
募るのは、小さなさみしさ SIDE美己


仕事を終えて家に帰ると、テーブルライトの小さな灯りだけに照らされたリビングに見慣れた彼の姿を見つけた。

ソファの上で何も掛けずに目を閉じた彼に近づき、すぐそばにあったブランケットを横たわる体へとそっと掛ける。

かがんで顔を覗き込むと、穏やかな寝息が聞こえて。なんだか湧いてきた悪戯心で目の前の額にふっと息を吹きかけてみるけれど、彼が起きる様子は1ミリもない。

「私が彼氏ならお姫様抱っこでもしてベッドまで連れて行ってあげるんだけどなぁ」

ぼそっと呟いてみたものの、女の私にそれが出来るはずもなく。

「逆だからできないや、ごめんね涼くん」

季節は12月。
暖房をつけているもののベッドで寝ないと風邪を引いてしまいそうで起こそうか迷ったけれど、あまりにスヤスヤと気持ち良さそうに眠っているものだから、起こさずに掛けたブランケットを肩までしっかりと引き上げた。
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