仕事も恋も効率的に?

★溺れる2人★

さすが一等地のマンション。
部屋ももちろんオシャレだがお風呂も素敵。
何か見かけていたのか、DVDが流れ始める。
長身のコウさんが足を伸ばして入れるサイズのバスタブ、無論私もゆったりつかれるわけで。
んんーっと伸びていると、肩にお湯が流れ出し、腰には気持ちのいいジャグジー。

黒と白の浴室に、ブルーのボトルが並ぶ。いつも漂わせてる香りはシャンプーやボディソープらしい。BVLGARIのLINEで揃ったボトルに、CLARINSの洗顔が置いてある。
髭剃りも置いてあり、今更ながら、男の人の家に来た感じが急にする。

ざぁぁっとシャワーを浴びていて気が付く。

『...着替えがない!!!』

思わず泡だらけの状態で叫びながら、先程まで来ていた下着類を洗う...。
絶対乾かないけど...涙。


静かにタバコをふかしていたら、『着替えがない!!!』と、叫ぶ声。
作業着のまま連れ帰ったから当然といえば当然。通勤の時の服は持ち帰ったが、それでは役に立たないだろうと、苦笑する。
気が利かなかったな、と独り言を言いながら、クローゼットから新しいボクサーパンツを出す。上と言っても、あまりTシャツをきないから大してないし、余るほどあるのはせいぜいワイシャツ位だしな...と思う。

『!』
これは...年代のせいなのか、俺の単純な趣味なのかは不明だが、できればやって欲しいワイシャツ1枚姿が出来る!!勝手に想像してにやけてしまう...。いや、変態とかじゃなくて、願望であり、それが愛する女が着るであろうことを想像するだけで、ムラムラしてしまう。
クリーニングから戻っていたみちの気に入ってるシャツをだし、洗面所に向かう。

コンコンコンっ
『ちょっとあけるぞ』
『はーい。どしました?』

シャワー中のみちが、中から返事をする。

『着替え。とりあえず俺のボクサーとシャツで我慢な』
『わっ、ありがとうございます!!助かります!!!』
『んや、俺が気利かなくて悪い。明日取りに行くまでな』
『いえいえ!ほんとにありがとうございます!よかった!!』
『ん 笑。とりあえずゆっくり入れよ?』
『はーい』

ひとまずほっとしたものの、メイク落としがなく、連動してメイク道具もないことに気がつく。
ひとまずお湯でよく浮かせて、何度かあらい、最後に2回洗顔フォームで洗う。取り切れないのは化粧ポーチに入れていた乳液で落とそう...。
メイク道具、あんまり持ち歩いてないし、お風呂上がりにメイクも嫌なんだよなぁと悩む。仕方ない、タオルかけてれば大丈夫かな?なんて安直に考える。

一通りあたたまり、コウさんと同じ香りがすることに恥ずかしくもなりながらあがる。

『んーむ、やっぱアイラインは落ちなかったか...』
黒のアイラインが、少し目の下に落ちている。乳液でなんとか落とし、化粧水と乳液、オイルで整える。美容液がないが、とりあえず日中使いそうなものしかポーチに入れていないので仕方ない。

バスタオルを洗濯機に入れ、着替えようとすれば、用意してくれたのはTシャツではなくてワイシャツ!!
とりあえず、真新しい白のCKのボクサーを袋から出し、履いてみる。ウエストも太ももも若干大きいが、ぶかぶかではない。それだけコウさんが細身というか、私がデブというか...。

意を決してワイシャツを羽織る。Tシャツくらいあるのでは?と思ったが、出してもらった手前何も言えず。ワイシャツは大きく、袖を1つ折る。丈もそこそこに長いのでボクサーが隠れるかギリギリなのでなんとかなるが、普段圧着タイプのストッキングを愛用して細身せしてる自分の生足がちょっと嫌...。
頭からタオルをかぶり、リビングに向かう、

『あがりましたぁ』
『おー、ちゃんとあったまった...か...?』

みちの方を振り返れば、俺を刺激するには十分すぎる格好のみちが立っていて、ドクンッと心臓が跳ねる。
ジャストサイズだと思ったが、着せてみると大きいのはみちが細身だからなのだろう。でも、女性らしいラインに、太くはないがむっちりとした美味しそうな太ももが見える。バストはジャストサイズの様で、ボタンの隙間からちらっと見え隠れする肌が色っぽい。

『着替えありがとうございました』
『あ、あぁ...』
『ふー、気持ちよかった。そだ、ハイボール飲みます?』

空になった空き缶を捨てながら聞かれ、頷く。手馴れた様子でハイボールを2杯作り、ソファに座る。

『はい、どーぞ』
『さんきゅ』
『おぉ、トム・クルーズじゃん』
『好きなの?』
『うん!カッコイイ!』
『...んじゃ違うの見る』
『え?!なにそれ!意地悪!』
『...お前は、俺見てればいいの...』

からんっとグラスを傾けてタバコを吸うのに、チャンネルを変えるわけでもなく、ベランダの方に行ってしまう。

『...どしたの??』
『ん?いや?』
『...むぅ』
『それよかタオル取れば?』
『...え?』

すっぴんを晒せと...?

『あ...えーと...メイク道具がなくてですね...』
『ぶっ 笑。風呂上がりになんで化粧すんだよ?笑』
『いや、そのー、なんというかですね...』

ごくごくとグラスを開け、再度キッチンに立つ。

『さすがにすっぴんはちょっと...』
『はぁぁ?』

キッチンでまごまごしていると、俺のも、とグラスを持って来る。思わず後ずさるが食器棚でこれ以上下がれず俯く。
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