仕事も恋も効率的に?
『こっち向け』
『嫌です』
『こら...』
『いーやーでーすー』

押し問答した所で勝てる要素はひとつもないが、粘るだけ粘る。

『ったく...』
バサッと流していたタオルを取られ、慌てて顔を上げる。

『...なんだよ、いつもどーり綺麗じゃん』
『...なっ?!!』
『お前、素が綺麗だからな』

恥ずかしげもなく言われ、こっちが恥ずかしい。

『もっ、変な事言わないでくださいよ、もう!』
『変じゃないし。普通に綺麗だけど』
『もー、だからー!!』

間をすり抜けて、ちょっと濃いめに入れたハイボールを渡す。

『そーゆー口説き文句言い慣れすぎ!』
『はぁぁぁぁ?!なんだよ、それ!』
『そのまんま!』
『お前口説いてんだから、慣れるも何もねーっつの!』
『もう!』

ソファに戻り、またタオルをかぶってトム・クルーズをみても不服そうな顔をするみち。キッチンで飲みながら見つめていると。

『......やっぱ帰りましょうか...?』
『は?』
『んや...』
『...なんで...?』
『.......』
『...なんで?』
『...お風呂上がってから...コウさん近くにいないし...。よくよく考えなくても釣り合わないのはわかるけど...その...』

何かが弾ける感覚。
自分でもよくわからない。
ただ、本能のままにそばによる。

『...いや、無理してきてもらいたいわけじゃ...んっ...』
『...はっ...お前、わかってない...』

突然熱い唇が降ってきて、苦しそうな切なそうな顔をされると、胸が締め付けられる。

『...お前の...格好が...その...、俺が我慢できなくなるアレで...』
『...え?』
『...勿論...すっぴんを恥ずかしがるみちも可愛くて...』
『...?』
『...俺も男だから...、我慢するのも...結構辛いんだからな...?』
『??』
『いや、なんつか、その、俺が着せたかったから着せてるのもあるんだけど...。あぁー、と...』
『え?』
『...すげぇ綺麗で、エロくて、我慢できなくなるから...』
『...ぷっ 笑。なにそれ 笑』
『な!笑うな!人が真剣に...』
『...クスクス...笑。そんなにエッチですかね、これ?』
『...あぁ...、すっごくやばい...』
『っ...』

物凄く色気のある目で見つめられ、動けなくなる。

『...我慢...しなくていーですよ?』
『?!』
『私でいーんですか?』

ドクンッとまた心臓が跳ねる。同時にみちを押し倒してキスをする。

『...みちじゃないとダメなんだよ...っんっ、...抱きたい...』
『っさがわさっんっ...』

太ももをサワサワと触られ、ビクッとする。

『肌、スベスベしてて...気持ちい...』
『...さがわさんっ...てば...』
『...名前で呼べ...』
『んっ、...コウさん...』
『っみち、好きだ...』

首筋に噛みつかれ、手は太ももから腰までを撫で回す。押し倒されていたからだを起こされ、コウさんの上に乗せられる。
太ももと腰の当たりをを掴まれ、やらしい声が出る。

『...弱いんだ?』
『っふっ...やっ...、んあっ...』
『もっと聞かせて...その声...』
『...恥ずかし...ですよ...』
『んじゃあ...向こう行ってたっぷり恥ずかしがってもらおうかな?』
『なっ...』

抱き上げられ、そのままベッドルームに連れていかれたあとは、翌朝まで離してもらえず、オス化したコウさんに散々愛されたわけで...。
途中で先に力尽きてしまった私は、7時に目を覚ます...。少し冷えた空気に、まだ寝ていたいとベッドの中に再度潜ろうとして気が付く。

いつも傍でみていた筋肉質な腕は頭の下にあり、抱きしめるように腕の中で寝かされていたようだ。
寝返りをうてば、あまりにも整った顔が目に入る。

『!!...』

何度見てもドキドキする。サラサラの髪を撫でていると。

『ん...?起きた...?おはよ』

これでもかってくらいの極上スマイルが、一気に脈を速める。
メガネを外したコウさんは、仕事中2人で話す時に外すくらいで、マジマジと見る機会はなかったのだが、ほんとに綺麗な顔をしている。
そのイケメンは、どれ程甘やかすのかと言うほど、また抱きしめ、キスをねだる。

『...おはようございます。そろそろ起きますか??』
『んー...まだいーんじゃない...?もーちょっとココでイチャイチャしたい...。んー、みち可愛い...、もっとこっちこい...』
『!』

恥ずかしげもなく言ってのけるので、一周まわって恥ずかしがることが恥ずかしいのかとぐるぐる回る。
ぎゅうと抱き寄せられ、さわさわと背中を撫でられ、するりと胸に手が触れる。

『やっ...ちょ...』
『んー?なに、みち、ここ硬くして...。まだ足りないの...?』
『んっ、だめですって...』
『...だめ...?』

ちょっと困ったように、お願いされるような顔で言われると、ダメとは言えなくなり...。幸か不幸か、何も身に付けずに寝た姿のままだったため、もう一度コウさんが覆い被さる。

『...みち相手だと、俺もまだ若いってことだな...。めいっぱい愛してやるから...』
『もっ、昨日いっぱい...、んん、やぁぁっ...』
『みち...ちゃんと濡れてんじゃん...?もう俺...限界...』

そんな低音にあてられて、体はただただ反応するばかりで、朝から何度も愛される。
やっと解放されたのはお昼前で、何時間寝たのか定かじゃないが、ほぼ6時間以上は抱かれっぱなしだ...。

『...さがわさ...』
『む、名前』
『うー...コウさん...、40代じゃないでしょ...、若すぎます...』
『お前が相手だといくらでもできるみたいだ 笑。俺もびっくり 笑』

なでなでと頭を撫でられながら、心地いい疲れに酔う。さすがにこれ以上は体が持たないので、もぞもぞと起き出す。

『シャワー借りますね。それと、ベッドカバー替えなきゃだから起きてくださいね』
『んー...、もう昼か。早いな』
『...』

貴方が散々愛してくれるからこんな時間に、と言いかけたが黙る。

『みち』
『はい?』

ワイシャツに袖を通し、バスルームに向かおうとするみちを抱きしめる。

『みち、愛してる』
『な!もー......。愛してますよ、コウさん』

何度かキスをし、溶けそうなみちの顔にまた押し倒しそうになるが、当の本人に『これ以上したら今日出かけられないです』と、止められる。

確かに、と納得してしまい、キスを落としてシャワーが終わるまでリビングで待つ。
一緒に入りたかったが、我慢出来る精神を持ち合わせてないのでみちが上がるまで待つ。

しばらくして、昨日みた私服で出てくる。
『1回帰らないと...』
『そだな、荷物取りに行こうか』
『うん』
『俺もシャワー浴びてくるから、ちょっと待ってて』
『はーい』

お昼もすぎ、お腹もすいてきたので野菜室にある残った葉野菜と蒟蒻麺でパスタを作る。

キッチンツールは揃っているものの、ミキサーやフープロがない。足りないものは家から持ってこよ、なんて考えてちょっと恥ずかしくなる。
デロンギのコーヒーメーカーから二人分の珈琲を入れ、マグカップも買っていいかな...なんて考える。

『あがったー』
『はーい。お昼、簡単だけど食べましょ』
『おおおおお!マジか!お前凄いな...』
『え?』
『めちゃくちゃいい嫁になるなぁ』
『な、な、何を言ってんですか!』

一気に紅潮してしまうが、素直に嬉しい。
あっという間に完食してくれる姿に嬉しくなる。

『これから、一旦お前ん家行って...あ、いや1回車取りに行くか。うちの駐車場に置いてから出よう』
『ん、はぁい』
『その後、荷物取ってから買い物行こうか』
『遅くなっちゃわない?』
『なんかあんのか?』
『いや、疲れない?ってこと』
『全然?明日明後日まで休みだし』
『...あ、3連休でしたね...忘れてた』
『そそ。だからゆーっくりまた愛せるし...?』
『...恥ずかしいんですってば...』
『慣れろ』
『無茶言わないで!笑』

食事を済ませ、カバー類を洗濯機に入れる。
有り合わせのメイクをし、出かける支度をする。

『準備出来ましたー』
『おっけ。あれ、なんだよ化粧しちゃったの?』
『当たり前でしょ』
『しなくても綺麗だけど。まぁ、俺だけ知ってればいいか...』

独り言のように言いながら歩くコウさんの後ろを、またそんな事を平気で言う、なんて思いながら歩く。
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