仕事も恋も効率的に?

★2人の過ごし方★

『...ん...。もう8時半か...』

眠い目を擦りながら、スマホで時間を確認するといい時間だ。
ラリーのナビがひたすら英語で話している音に気が付く。

ほんとに俺どうしたんだろ?
こんなに身も心も欲してしまうのはみちだけで、経験したことの無い自分に戸惑う。
同時に、もう失えない存在なのだということはわかる。

腕枕ではすやすやと寝息を立てるみち。
控えめなアッシュの柔らかい髪。整いすぎた顔立ち。長い睫毛は伏せられているが、目を開けると茶色の大きな黒目に惹き込まれる。透き通って、キメ細やかで柔らかい肌。ふっくらしてるが、厚くない唇。細くて長い首筋、綺麗な鎖骨、豊満な胸なのに華奢な体。
本当に一目惚れした容姿。

中身に至っては、文句のつけ所がなくて...。まぁ、ちょっと甘えベタなとこあったり、いきなり怒りだしたりするが、可愛くて仕方ない。

サラサラの髪を撫でていると、長い腕が首にすがりつき、くっついてくる。この甘え方が普段見慣れない姿でグッとくる。たぶん、にやけてる...。

『...こーさん、おはよです...』
『ん、おはよ。起こしたか?』
『んーん...、きもちかった...』
『そか、みちが望むなら、いつまでもしてやる』
『ん...んじゃ、毎日...』
『っ!あぁ、毎日な、ずっとな』
『...ん...』

寝ぼけてるのか、俺の胸におでこを付けながら擦り寄ってくるのが、簡単に飛んでしまいそうになる。

『...かわい...。みち...、もっと...』
『...ん...?』
『もっと俺を欲しがれ...。俺はずっとみちが欲しい...』

するすると触り心地のいい体を撫で、起きてからも我慢なんか出来ずに抱いてしまう。
俺が気持ちよくなりたいというよりも、みちが俺で感じて、俺に乱されている支配欲なのかもしれない。俺しか見えなくできるからかもしれない。

最中はそんなこと考える余裕もなく、俺が簡単にみちの虜になる。矛盾してるようだが、事実。
愛してると何度も囁きながら、もう俺でしか満足できなくなればいい、って思ってしまう。


『...っ、はっ...』
『...大丈夫か...?』
『...大丈夫...じゃない...』
『くくっ...可愛ーヤツめ 笑』
『むぅ...』
『...ちょっと心配だから...ここに跡つけてもい?』

首筋を軽く噛まれ、ちょっと待ったと返してしまう。

『コウさん、ここはダメです。明日から仕事だよ?まずいよ』
『...なにが...?』
『...お客様に見られても困るし...、恥ずかしいし...。そもそも、そんなことしなくても、私はコウさんのものですよ?』
『!』

あまりに唐突に、俺の女だと認めることを言うから、つい、鎖骨付近にマーキングしてしまう。何度も、何度も。

『首が1番いいんだけどな...。あ、それよりコッチのだと間違いないな』
『?』

枕元からゴソゴソと、何かを取り出すコウさん。

『...手』
『ん?』

出した左手の薬指に、ピッタリとはまるソレは、昨日買っていたペアリング。

『...え、私に?』
『え?お前以外に買うわけなくね?』
『...あ、え...?』
『ほら、みち。俺にも』
『あ、は、い...』

渡されたリングを、コウさんの細い薬指にはめる。

『...きれー...』
『気に入ったならよかった』
『コウさんから...指輪貰えるなんて思わなかったから...』
『俺をなんだと思ってんだよ。お前のこと離さないって言ってんだろーが』
『...ん...。ありがとうございます。嬉しいです』

満面の笑みで言われ、ぶわっと赤くなるのがわかる。

『...ホンモノは、またちゃんと買いに行こうな?』
『...へ?』
『これは、俺のモノってこと見せるやつ。後で、ちゃんと一生つけるやつ買いに行こうな』
『...え、え、え?』

なまじ、プロポーズされた感覚になり、頭が真っ白になる。
こんなイケメンが私にプロポーズ?!つか、まだ付き合って三日目...なのに...?!!
驚いていつもの2倍は目が開いていたと思う...。

『みちは俺の...。だから、もう俺しか知らなくていいの...。可愛いとこ、俺以外に見せちゃだめ...。わかった?』

甘すぎる囁きに溶かされそう。
幸せすぎて、このまま溶けてしまいたい。

『明日から一緒に出勤しよーな』
『...は、い...。......あ!!』
『あ?』
『コウさん!コウさんの作業着どこ?!』
『え?作業着...。車...』
『洗濯忘れた!やばい、すぐ洗わないと!!』

目が覚めたみちは、バタバタと起き出し、のそのそと起きた俺が持ってきた洗濯物を洗う。
朝食の支度をしながら、シャワーを浴びて洗濯を干してパタパタと動くみち。

俺、いい嫁もらったな...なんて一足先に思う 笑。

『ありがとな』
『んん、忘れててごめん!いまご飯出すから待っててね』

コーヒーをテーブルに置きながら、微笑むみちにつられて微笑む。

『ん、さんきゅ。飯食ったら買い物行くか』
『うん、行こう』
『っし。俺もシャワー浴びてくるわ』
『はーい。すぐご飯だから早めにねー』
『ん 笑』

この後どこ連れてこうかな、なんて考えながらシャワーを浴びる3連休最終日。
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