『田丸さん、ちょっといいですか?』

さっさと終わらせようと、みちの不安げな顔を背に話をする。

『聞いたと思いますが、私は本田の提案と同じ意見です』
『...ですが、これでは切れちゃいますよね?!』
『なんの問題もないかと』
『...でも、今まではっ』
『今まではそうかもしれませんが、変えましょうって話ですよ』
『...理解できないんですよ』
『...やり方が変わると理解できないなら、今までのやり方でやるしかないじゃないですか。そうされるのであれば、今後、私に相談されても困ります』
『それはっ、佐川さんは、この機械の担当で』
『やりたいようにやるなら、私はお任せしますが、本田にやらせないでください。コレは、私と本田が考えたものですから』

ものすごく顔色が悪く、機嫌の悪いコウさんは、そのまま部屋から出てしまった。
私も疲れてタバコを吸いに出て、戻るタイミングでコウさんとばったり。
おいでおいで、をされたら、飼い猫の様に自然と足が向かう。

『お疲れ様でした』
『ん。進展せずで悪ぃ』
『いえいえ...。あの考えでは、ね...』
『まぁな...。田丸さんにには、相談しないでくれとは話したが、そもそもお前の相談しか乗る気もないけど 笑』
『まぁ...なにそれ...笑』

疲れて部屋を出たものの、行くところもなくブラブラして戻ればタイミングよくみちと会う。

俺に気が付いて、パタッと立ち止まるあたりがなんとも可愛い 笑。つい手招きしてしまう。
フワッと香る香水に安心してしまう。本格的に、気になるってのを超え始めたな、なんて思ってる...。

廊下の壁によりかがりながら、長い脚を組んだり外したりする仕草も、綺麗。
横並びに寄りかかりながら、うーん、と首を斜めにしながら考えるような仕草も微笑ましい。

同じ目線にあるのを横目に、ポンポンと頭を撫でてしまう。

『しんどい時にそーゆーことされると、泣いちゃうからやめて』
『んじゃあ泣いちゃえば?』
『困るくせに 笑』

本当はこのまま肩を抱き寄せて抱きしめたいけど、本庁ど真ん中の廊下でそれをやってはマズいと、中堅の自分が抑える。

『佐川くん?邪魔しちゃってアレなんだけど、電話 笑』
ふいに声をかけられ我に返る。
『あっはい!』
『んでは』

ヒラヒラと手を振りながら別の入口から戻るみち。
電話の相手に若干腹が立つが、業務中だったことを思い出して課内に戻る。

この作品のキーワード
オフィスラブ  年上  上司と部下  切甘  低音  眼鏡  美形  溺愛