君と見つける、恋の思い出
夏
体育祭
文芸部に入部し、三ヶ月が過ぎた。
「期末終わったし、体育祭だね!」
部室で楽しそうにはしゃぐ叶花は、週末は病院で検査しているが、平日は普通に学校に来ている。
「叶花は見学だろ」
「冷めるようなこと言わないで、蓮くん」
事実を言っただけだ。
「さくら、普段から体育は見学してるよね? どうして?」
後輩は叶花と話すようになっていた。
俺は断固として読書を貫いてきたが、彼女は違ったらしい。
「さくらは体が弱いのです」
なんてくだらないやり取り……いや、返しなんだ。
後輩のさくら呼びは定着し、そう呼ばれるたび、叶花は一人称をさくらにする。
本当に嬉しかったんだとわかるが、さすがにそろそろやめてくれとも思う。
「そんなふうには見えないけど」
「こっこは友達を疑うの!?」
ダメだ、完全に面倒なところが出てきてる。
「浅賀先輩、あれどうにかしてください」
後輩は軽蔑するような目で叶花を見ていた。
「残念ながら、俺が知る限りあれはずっとあんな感じだ」
そう答えると、後輩は綺麗な舌打ちをした。