冷たい幼なじみが好きなんです
流れてしまわないで
生まれてからずっと、なにをするにも遥斗と一緒だった。
保育園も幼稚園も小学校も中学校も、そして高校も。
わたしの思い出にはいつだって遥斗がいた。
遥斗はうるさいわたしとはちがって基本クールな性格だけど、いつだってわたしの隣にいてくれた。それが当たり前だった。家族みたいな存在、本気でそう思ってた。
………だけど遥斗は違ったんだ。
『近寄るなって…どういうこと?わたし、なにかした?』
思い当たる節はなにひとつない。なにかのドッキリかと思った。だからこのときのわたしはまだ言い返す勇気があった。
立ち止まり、わたしのほうにゆっくりと体を向けた遥斗。
このときたしか…………瞳は合っていなかった。
『俺、お前のこと──』
──ずっと嫌いだった。
紡がれたその言葉を、わたしは信じたくなかった。
『え…?意味、わかんない…。いきなりどうしたの?ねえ、遥斗、……ねえってば──!』
『うるさいな…、うっとうしいんだよ』
このときでさえ、わたしはうっとうしい態度を取ってしまっていた。
わたしは全く気づかなかったけれど……遥斗はずっと、心の中ではそう思ってたんだ。初めて告げられた真実だった。
もうなにも言えなかった。遥斗の背中を追いかけることができなかった。
衝撃的すぎて………なにが起こったのかも、わからなくなった。