慌ただしい年末は目まぐるしく過ぎ去り、新しい年を迎えた。

元旦、二日は怜士と共に互いの家へと挨拶に回り、シフト制の沙帆は三日が仕事初め。

怜士も三日の夕方から大学病院へと出勤した。

新年に入り、鷹取総合病院の開院百周年祝賀会も間近に迫ってきている。

怜士の両親はその準備に追われているようで、新年の挨拶に向かった正月も、話題はそのことで持ちきりだった。


「あの、すみません、三角さんでいらっしゃいますか?」


大学病院での清掃中、病棟の廊下をモップがけしちると、背後からお淑やかな女性の声で呼びかけられた。

手を止め振り返り、そこのあった顔に沙帆は『あれ?』と思う。

(この方、どこかで……?)

首を傾げたい気持ちで「はい」と返事をすると、初老の女性は丁寧に頭を下げた。


「わたくし、大河内(おおこうち)家で使用人をしております、佐田(さた)と申します。今、少しお時間をいただけないでしょうか」

「え……私が、ですか?」

「はい。咲良お嬢様が、三角様を連れてきてほしいとおっしゃっておりまして」

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