今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~


「……よし、顔色も悪くないな。軽い脳震盪だと思うが、一応CT撮っておくか」

「だ、大丈夫です。そんな、大袈裟な。それに、仕事中だったので、戻らないと……」


そそくさとベッドから足を下ろし、脱がされて置かれていた自分のスニーカーに足を突っ込む。


「二度も落ちてご迷惑をおかけし、大変失礼しました。三度目はもう絶対にありませんので」


はっきりきっぱりと、沙帆は上背のある鷹取を見上げて告げる。

それは、もう鷹取とは関わることもないという沙帆の宣言のようなものだった。

深く頭を下げ「失礼します」と去っていく沙帆の小柄な背を目で追いながら、鷹取はフッと息を漏らす。


「どうだかな……」


どこか意味深な呟きが、狭い処置室にぽつりと落ちた。


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