広々としたキッチンの内側に立つ吉永を、沙帆はリビングルームのソファーの背もたれ越しにじっと見つめている。

吉永は慣れた手つきでホワイトカラーのティーセットを取り出し、ガラス戸の戸棚からアールグレイの茶葉缶を取り出した。

カップとソーサーは三セット用意されている。


「吉永さん、丁寧に紅茶なんて入れなくてもいいのに」


沙帆から送られるジト目の視線を受け、ステンレスの茶さじを手にした吉永は、「そうはいきませんよ!」と爽やかに笑い飛ばした。

ブラウスにスラックス、それにフリルがあしらわれたエプロンをつけた昔から変わらない吉永のスタイル。

母親代わりに昔からそのキッチンに立っていたその姿は、大人になった今でも沙帆をホッとさせる。

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