焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
そばにいてくれるだけでいい
織田くんと会えなくなって約二ヵ月。何度か送ったメッセ―ジ文に一度も既読が付くことはなかった。

午前中の会議を終え、使用した資料を手に廊下を歩きながら、ふと窓の前で足を止めて空を見上げる。

「織田くん……元気かな」

織田くんも雲ひとつない青空を、どこかで眺めているだろうか。

ちょうど会社は昼休みを迎え、チャイムが鳴り響く。再び足を進めオフィスへ戻っていると、スマホが鳴った。

その音に身体を震わせ、相手を確認するとため息が漏れる。そのまま電話に出ることなく通話終了ボタンを押した。

* * *

事の始まりは、織田くんと会えなくなって一ヵ月後のことだった。仕事が終わり、帰宅して夕食の準備をしていると登録されていない番号から電話がかかってきたんだ。

「誰だろう」

登録はしていないけれど、なんとなく見覚えのある番号に恐る恐る電話に出た。

「もしもし」

火を止めながら出たものの、すぐに言葉が返ってこない。もしかしてイタズラ電話だろうか。

「あの、切りますよ」

なにも言わない電話の主に言い切ろうとした時――。
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