遠藤に連れられて、夏奈は廊下まで来た。

「まずはここが職員室、あそこが中学1年生の教室、その隣が2年生……」

次々に説明してもらい、夏奈は相づちを打ちながら聞く。遠藤曰く、サクラ学園は中高一貫校であり、1学年1クラスずつしかないという。

「夏奈ちゃんは中学3年生だから、1番奥の教室ね。それと、生徒会長を紹介したいんだけど……」
「生徒会長?」
「そう、一応ここにも生徒会長っていうのがあって……。アキラちゃん、こっちこっち!」

遠藤にそう呼ばれ、1人の少女が教室から出てきた。長身で、美しい長い髪をポニーテールでまとめた少女だった。

「初めまして! 篠原(しのはら)アキラって言います! よろしくね!」

明るく元気で、切れ長のまつ毛を持つ美しいアキラを、夏奈はじっと見つめた。

「綺麗な人……」

夏奈は思わず呟いた。すると、アキラは目を細め、声を出して笑った。

「あはは! 綺麗だなんて、照れちゃうなぁ……。えーっと、アカツキナナちゃんでいいのかな……?」

名簿を見て名前を呼ぶアキラに、夏奈はふふっと笑みをもらした。

「暁夏奈です。これで、カナって呼ぶんです。ちょっとわかりづらいですよね」
「カナって読むのね! ごめんね夏奈ちゃん!……ちょっと、ちゃんと振り仮名書いておいてよ園長、間違えてしまって恥ずかしいじゃん」

アキラは園長を肘でつついた。

「ごめんごめん、忘れちゃってて。アキラちゃんなら読めるかなーって」

笑い声が廊下に響く。そして木霊した後、アキラが明るい声色で話し始めた。

「じゃあ夏奈ちゃん、ここからは生徒会長の私が学校の紹介をしていくね!」

アキラに腕を掴まれ、夏奈は早足で後をついて行った。アキラの長い髪のように、夏奈の心も緩やかに揺れていた。