溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
だから、アラサーなんていう面倒臭い年齢になってから社内恋愛をすることになるなんて思いもしなかったし、なんなら今もまだあまり現実味がない。
今朝起きた時に、やっぱり夢だったんじゃないか、なんて思ったほどだった。


その理由のひとつが、今日が月曜日だということだろう。


穂積課長と『一献』で会って、あらぬ展開になってしまったのが金曜日の夜。
そして、未だに思い出せていない〝私だけの空白の時間〟に予定が決まっていて、課長いわく〝デート〟をしたのが土曜日。

さらにその翌日の日曜日は、穂積課長が先約があると言っていたからゆっくり過ごすつもりでいたのに、夕方に突然迎えに来られて近所の居酒屋で夕食を共にした。


だけど、それはあくまで週末の出来事。
つまり、怒涛のように過ぎていった三日間が明けた月曜日の今日は、穂積課長の素顔を知ってから初めて会社で顔を合わせるというわけだ。


ただ、今日は朝早くから出社していた課長がすぐに得意先に出て行ったままらしくて、幸か不幸か私たちはまだ一度も顔を合わせていなかった。

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