溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
Pledge 7 「このまま俺に連れ去られてもらおうか」
秋の気配が過ぎ去り冬が訪れた、十二月上旬。
あのミスを犯してしまった時から一ヶ月以上が経ち、年末に向けた忙しさを感じるようになるにつれて、日常が戻ってきた。


サンプルを配布する企画は無事に成功し、少し遅れて研究所や名古屋支社から回してもらったサンプルも確保することができた。
万全ではなかったとはいえ、イベントそのものは大盛況だったと聞いている。


イベントが終わったあとには、企画部の面々も営業部のメンバーも、温かい声をかけてくれた。
私が気にせずに済むように気を遣ってもらえることに、もちろん感謝の気持ちはあったけれど、優しくしてもらえるたびに申し訳なさが募った。


だけど、あの時の失敗をなかったことにはできない。
みんなに迷惑をかけてしまった私ができるのは、きっと精一杯仕事をこなしていくことだけ。


今までよりも丁寧に、注意深く。
些細な業務にも手を抜かず、しっかりと向き合う。


助けてくれた同僚たちにはそんなことでしか返せないから、とにかく必死に仕事をこなした。

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