溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
ベッドの中の穂積課長は、蜂蜜を溶かし込んだように甘い。
油断すれば、今すぐにでもとろけてしまうほどに。


触れてくる手は、激しいのに優しくて。
苛烈な刺激に体は打ち震えながらも、ひどく悦んだ。


肌を這う唇が、時折思い出したように唇にキスをくれて。
甘い吐息と声を漏らしながらも、必死に応えた。


会社の誰も知らない、艶麗な笑みを湛えられて。
同僚たちは見ることができない、扇情的な眼差しを向けられて。
私だけに与えられる熱く甘やかな課長の姿に、胸の奥がキュンキュンと締めつけられた。


一糸纏わぬ自分自身をさらけ出しているのは、恥ずかしくてたまらないのに。
それよりも大きな幸せを前に、羞恥心なんて溶けてなくなってしまう。


熱い肢体に抱きしめられながら瞼を閉じると、繰り返し私を呼ぶ甘い声が徐々に遠のいていく。
それから数秒もしないうちに、私は穏やかな多幸感に包まれながらゆっくりと意識を手放した――。

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