一期一会
2 勃発
「西野は自転車通学か~。俺は電車通学で始発の電車だから初めは座れるんだけど、乗り換えた後は押しくらまんじゅう……。朝のラッシュ体験して昨日の一日で既に嫌になったから今日は空いてる早めの時間に乗ってきたんだよ……。自転車通学、本っ当に羨ましい……」

「だから早い時間に学校に居たんだね。私は電車通学すっごく憧れるのになぁ」


今日こそは女友達を作ってみせると意気込んで家を早めに出てきたら、数人しかいない教室に満員電車を避けるために中原君が既に来ていた。
彼は私を見つけるとすぐに声をかけてくれて、今は私の席の隣に座って話をしてくれている。
中原君は会ったばかりとは思えない程、人見知りの私でも話しやすかった。


「帰りに寄り道して買い物とかしちゃったりとかさ!って言っても、一緒に行ってくれる女友達がいないんだけどね…アハハハハ……」

と自虐的に笑って言ったら、


「そんなのそのうちクラスに馴染めばすぐ出来るって」

とすかさず笑顔でフォローしてくれる。

あぁ、なんて優しいの!


「智也、おっはー」

中原君の優しさに感動していたら、突然後ろから彼を呼ぶ声が。
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